「週刊テツタビ百科」第30号

小坂真智子

2009年11月14日 17:41

スナフキン藤田です。
いつも「すまいるトレイン777」に、ご乗車ありがとうございます。
今週は金色ライオンさんからのご質問、
「信号やポイントはどこで切り替えているの?」にお答えしました。
それでは本日の再放送です。

第30号 (2009.11.14 ON AIR)
~列車の安全を守れ 保安システムの話~

●ポイントの切替や信号を1ヶ所で集中制御するCTC
特定の駅に設けた列車制御所、または運転指令所が各駅での列車発着を指示する信号、
ポイント切り換え、列車位置表示などをまとめ、線区の列車運行を集中管理・
制御するシステムです。このシステムを列車集中制御装置(CTC:Centralized
Train Control)といいます。表示装置によってリアルタイムで信号や列車位置などを
把握することが可能で、要員の合理化と列車の安全、正確な運転のため迅速・
的確な指令業務を担っています。大半の鉄道会社が導入済み。(もちろん駿豆線にも)
最近は列車に大きな遅延などの異常が発生した際、運転計画をコンピューターが行い、
安全で迅速な平常ダイヤへの復旧計画を指令員に提供するプログラム式列車運行制御
装置(PTC)が導入され、さらに列車運行情報に基づき各駅の行先案内掲示と
案内放送を自動制御する機能を追加した列車運行総合制御装置(TTC)の導入も進み、
運行管理システムは着実に進歩しています。


東海道・山陽新幹線のCTC表示パネル

●スピード違反を見逃さないATC
自動列車制御装置(Auto matic Train Control)の略称です。信号の表示に対応した
信号電流をレールに流し、列車の車上装置が連続的にこれを受けることで走行速度は
信号が示す制限速度以下であるかどうかをチェックし、速度が超過した場合は
自動的にブレーキを作動させて制限速度以下に抑える装置です。しかしながら
制御する能力は減速しかありません。

●自動運転の要ATO
自動列車運転装置(Automatic Train Operation)の略称です。ATC よりさらに運転を
自動化したシステムです。運転士はスタートを指示するボタンを押すだけで、
列車の力行(りっこう=加速走行すること)や、惰行運転、制動操作、定点停止なども
自動的に行います。東京メトロでは、南北線の全列車が自動列車運転装置で自動運転を
しています。この装置は、乗客の安全が確認された後でなければ発車出来ない、
停車位置に円滑に停止させる、ブレーキ装置を乗務員が操作した場合には自動運転状態が
解除される…などの基準が設けられています。

●危険を回避して確実に列車を止めるATS
自動列車停止装置(ATS:Automatic Train Stop)は、鉄道での衝突防止や
過速度防止を目的とした保安装置です。列車が停止信号を越えて進行しようとした場合、
または鉄道信号の指示速度を超過した場合に乗務員に警報を与えたり、列車の
ブレーキを自動的に動作させて列車を停止させ衝突を防ぐ装置です。1966年
(昭和41年)、ATCを導入済みの東海道新幹線を除く国鉄全線に設置されました。

●デッドマン装置
列車の運行中に、運転士が急病などで失神状態になった場合、ベルまたはブザーで
警告を与え、一定時間以上これが確認されないときは非常ブレーキがかかります。
この装置のことをデッドマン装置といいます。運転士に荷重な負担とならないよう、
主幹制御器に設けられたノブを押し続けるものや、足踏みスイッチを踏み続ける方法が
一般的です。

●踏切障害物検知装置
踏切内でエンストを起こした自動車など障害物を自動的にキャッチした場合、
信号を赤に切り替え列車を自動的に停止させる装置です。検知方式としては
(1)光を利用した光電式、(2)音波を利用した超音波式、(3)電磁作用によるループコイル式
などがあります。また、踏切で起きた障害を中央の運転指令所に連絡する
踏切集中監視装置も設置されています。障害は運転指令所の監視盤にその踏切のある
駅間が点灯表示されます。運転指令者は直ちに列車無線などで運転士に注意を促し、
列車は徐行運転を行います。

1日で国内を走行する列車は7万本だそうです。鉄道は何重もの安全システムに
サポートされて運行しているんですね。金色ライオンさん、ありがとうございました。
さて次回は、「東海道・山陽新幹線」をテーマにお話する予定です。
リスナーさんからのご質問もお待ちしています。お楽しみに!!

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