「週刊テツタビ百科」第34号

小坂真智子

2009年12月13日 16:19

スナフキン藤田です。
いつも「すまいるトレイン777」にご乗車ありがとうございます。
それでは昨日の再放送です。

第34号 (2009.12.12 ON AIR)
~満員電車の強~い味方 吊革の話~

揺れる車内、特に混雑時に吊革の存在はありがたいものです。
今回は何気なく使っている吊革の特集です。

●なぜ「吊革」?
 19世紀末のアメリカでは畜産が盛んで、ベルトの部分は牛革を用いていました。
 日本でもそれを真似ていましたが、戦後の物資難で盗難にあったり、
 買出し客で列車が溢れ返り重みで切れてしまったりしたため、昭和30年代には
 現在のように丈夫で不燃素材の塩化ビニール製が登場しました。現在持ち手の部分は
 大半がプラスチック素材で、光沢があり様々な色で塗装されています。

●吊革の代表的なメーカーは?
 国内のシェア7~8割を誇る三上化工材(大阪市西淀川区)の創業者で代表取締役の
 三上豊三郎さん。「トヨサンベルト」と名付けた製品は、全国の鉄道各社やロープウェイ、
 バス会社など100社以上に採用されました。最近は発注が減っているそうです。
 時代の流れで新路線や新型車両の導入が減ったのと、「しっかりとしたものを作りすぎて
 取り替える必要がないから」という皮肉な理由から。

●持ち手の形状
 ・丸型:持ち手が列車の進行方向と平行に設置されることが一般的。
  手首を通して少しくつろげたり、輪を回転させることで直前の利用者が
  握った場所を避けられます。
 ・三角型:持ち手が進行方向に対し直角(枕木と同方向)となっています。
  家庭用アイロンの握り部分をヒントに開発されたそうです。窓を向いて立つ場合に
  腕を上げた角度に合っていて安定しやすいのだとか。
 ・変わりダネ:縦長の二等辺三角形(JR東日本 E531系 E233系) 
  卵型(西武30000系) 五角形(JR東日本205系) ミッキーマウス型
  (ディズニーリゾートライン)

●永遠のテーマ? ドア付近の吊革が邪魔に感じない工夫
 目線の高さくらいの吊り革は座席付近ではちょうど良い高さですが、
 混雑するドア付近では持ち手が人の頭にぶつかったり、吊革を持つ乗客が壁になり
 スムーズな乗降を妨げる原因となっています。↓ 対策
 ・JRではストラップの取り付けパイプの高さを高くしているのが主流
 ・JR九州の一部車両では、ドアスペース中央部の吊革を円形に配置

●吊革の応用
 ・吊り革のストラップ部分にプラスチックのカバーを嵌め込み、
  そこを広告スペースとして活用する「アドストラップ」
 ・優先席(シルバーシート)エリアの吊革の色をオレンジ、黄緑などの目立つ色にして、
  分かりやすくする表示
 ・「マイ吊革の登場」 ボストン生まれでカードホルダー付の「Transtrap」や、
  ニューヨーク生まれの「Metrogrip」など海外製品も話題

*時代は変わっても基本的な形状や使い方にそう大きな変化はないようですね。

 
馬の蹄鉄型吊革(現在はありません)


五角形の吊革


縦長二等辺三角形の吊革


お馴染みミッキーマウス型


空港リムジンバスの吊革 なかなかオシャレ


ドアスペースの混雑を避けるための円形配置の吊革

次回は「運賃と料金」についてのお話です。お楽しみに!

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