スナフキン藤田です。
いつも「すまいるトレイン777」にご乗車ありがとうございます。
前回の予告で新幹線電気軌道総合試験車 東西対決!」とお知らせしましたが、
調べているうちにとても両者を紹介するには時間が足りないことが判明、
番組では「ドクターイエロー」のみを取り上げさせていただきました。
再放送では予定通り「東西対決!」をお届けします。
第44号 (2010.02.20 ON AIR)
~「新幹線電気軌道総合試験車」東西対決!~
ドクターイエローVSイーストアイ
●新幹線電気軌道総合試験車とは
新幹線区間を走行しながら、線路のゆがみ、架線の状態、各指令信号の状況を検査・
計測する新幹線規格の試験車。(JR東海・JR西日本/JR東日本所属)
●ドクターイエロー:923形 T4&T5編成(TはTESTの頭文字)
現在の車両は第二世代で、2000年に700系をベースに開発されました。
最高速度は270km/h。T4編成はJR東海所属、T5編成はJR西日本の所属です。
営業用車両との差別化を図り、本来保守用車両の黄色を用いたことから
現在の愛称が付きました。運転日やダイヤは公表されていないために、発見した人には
幸せが訪れる「幸せの黄色い新幹線」とも呼ばれています。
●ドクターイエローの業務内容
走行区間:東海道・山陽新幹線(東京大井運転所~大阪第一車両所~博多総合車両所)
運転頻度:1ヶ月に3回「のぞみダイヤ」(主要駅のみ停車)
6ヶ月に1回「こだまダイヤ」(各駅停車)
基本的には毎回同じダイヤで営業時間帯に運転されます。
基本編成:7両(1号車~3号車・5号車~7号車=電気試験 4号車=軌道試験)
3・5号車に架線観測用ドーム、7号車には700系普通車と同じ座席の
添乗室、2・6号車には1車両に2基のパンタグラフ(集電用と計測用)を装備
委託会社:日本機械保線㈱(JR東海の子会社)
●4号車(軌道試験車両)の重要性
乗り心地に直接影響する軌道試験では、270km/hの最高速度を維持しながら、
レーザーを1秒間に千回照射しセンサーとレールとの誤差をミリ単位で測定していきます。
その測定間隔は何と25cm毎! データは瞬時に計算され、波形表示ディスプレイに
リアルタイムで表示されます。また、この車両に搭載されている計測機器は熱に弱く、
車内温度の上昇を防ぐために屋根は黄色ではなく白色で塗装されています。
●検査・計測から保線作業へ
計測されたデータは、新幹線情報管理システムを経由してその日の夕方までに
各保線区へ送信され、そのデータをもとに夜間の保線作業が行われます。
したがって営業時間帯に運転しなくてはなりません。
●イーストアイ:E926形 S51編成
ドクターイエローと同じく現在の車両は第二世代で、2001年にE3系をベースに
開発されました。最高速度は275km/h。世界最速の試験車です。
E3系をベースにした理由は、ミニ新幹線規格の山形新幹線及び秋田新幹線区間でも
走行可能にするためです。また長野新幹線でも使用出来るように、周波数(50/60Hz)
切替装置も装備されています。塗装は白ベースに赤のストライプが入っています。
●イーストアイの業務内容
走行区間:東北・上越・長野・山形・秋田新幹線
運転頻度:非公開
基本編成:6両(1号車~2号車・4号車~6号車=電気試験 3号車=軌道試験)
1編成のみであるため軌道試験車は2両を所有しており、
イーストアイ自体が検査入場している場合は、E2系N21編成に
組み込んで運転されます。
委託会社:東日本電気エンジニアリング㈱
●検査・計測から保線作業へ
軌道計測能力はドクターイエローと同等。計測されたデータは新幹線総合システムへ
送られ、そのデータをもとに夜間の保線作業が行われます。
(上)923形ドクターイエロー 4両目の屋根が白いのが分かりますか?
(下)E926形イーストアイ 東京駅まで行かないと見ることは出来ません
最高速の列車を無事に運行させるためには、最高レベルの試験車とスタッフが
必要なんですね。
次回は「フルムーンきっぷ」を特集します。お楽しみに!!