【すまラー】麺処 田ぶし インタビュー その1

2009年06月06日

【すまラー】麺処 田ぶし インタビュー その1

東京は高円寺始まり、静岡進出第1号として三島店を2006年に開店。
2008年にはイシバシプラザ店、さらには沼津店を開店し、いずれの店も大変な人気を誇っている、「麺処 田ぶし」。

田ぶしといえば鰹の香味油が効いた豚骨スープの「本家 田ぶし」が有名ですが、そのインパクトあるスープを支える麺にも色々な秘密が隠されていたことが、今回の取材で判りました。
その模様を皆さんにお伝えしたいと思います。

今回インタビューさせて頂いたのは、「麺処 田ぶし」生みの親、田伏さんです。
・ラーメン店開業のきっかけ

【すまラー】麺処 田ぶし インタビュー その1
かなり(以後「か」):本日はよろしくお願い致します。まず屋号なんですが、これはやはり、「田伏」さんというお名前から来ているのでしょうか?

田伏(以後「た」):そうです。自分の名前でということで。珍しい名前なので、インパクトがあるかな、ということで。

か:本題に入らさせて頂きたいのですが、まずその始めたきっかけとして、何故ラーメン屋さんとか、自家製麺を始められたのかというところをお聞かせ願えればと。

た:はい。これは話すと長いんですけど、元々はお米屋さんを独立してやってまして、それで飲食店を含めたところにお米を卸している、といったところからですね。その時に、美味しいラーメン屋さん無いな、居酒屋さん無いな、ていうところで、自分で出来ないだろうかと。その辺がラーメン屋さんを始めたきっかけになるんですけど、そもそもラーメン屋をやるにあたって、自分はラーメンよりもうどんが好きで・・・

か:あ、うどんが。

た:ええ、そうなんですよ。うどんが好きで食べ歩いていたもので。で、うどんぽいラーメン、ラーメンぽいうどんが作れないものか、と思ってですね、知り合いがラーメン屋をやっていたんですね。で、厨房を借りながら、イチから教わりながら、始めたというのがきっかけですね。

か:それは、高円寺の方で始められたと。

た:そうですね、池袋のお店で修行させて貰って、高円寺の方にお店を構えたんです。


・キーワードは鰹

か:もし、差し障りなければ教えて頂きたいのですが・・・

た:はい

か:(静岡では)最初に三島店の方を立ち上げられましたが、それっていうのは急に三島に来たというかんじがするのですが・・

た:えっと、鰹ですね、キーワードは。

か:あぁ

た:千葉か静岡か、というところで一応考えていたんですけれど、たまたまうちの兄が沼津で働いていまして、まぁそんな縁もあって良い鰹が、漁港が沼津にあるので、そんなところで。水も美味しいじゃないですか、良いものが作れるんじゃないかなと、そんなところが発端ですね。

か:あぁ、なるほど。なんか、最初はその辺が判らなかったので、急にこっち(高円寺から三島)に来た感じがして、なんだったんだろうと思ったもので。


・自家製麺への拘り

か:私もよく知らない部分なんですが、ラーメン屋さんの一日っていうのがどうなっているのかな、というのをちょっとお聞きしたいのですが、今回のテーマが「ラブラブ自家製麺!」ということでして、まぁ、麺を作るところが最初かな、スープかな、そういう流れをお聞かせ願いたいなぁと。

た:これはお店によってスケジュールが変わってくると思うのですが、うちの場合は打ち立ての麺を出すという、なるべく打って時間の経たない麺を提供したいというのがありまして、麺を朝に打つんですね。まず麺を仕込んで、スープを仕込んで、営業が始まると。で、営業しながら次の日のスープを仕込むという、そういう流れですね。

か:じゃ、スープはずーっと平行して作っていると。

た:そうですね、一日作っている状態になります。仕上げだけが、朝になります。

か:ちなみに麺を打ち始めるというと、時間でいうと何時ぐらいでしょうか?

た:そう、まぁ、麺の在庫にも依るんですが、基本的には8時くらいからやらないと追いつかないかな、と。8時にお店に来ないと追いつかないですね、11時の営業ですと。

か:先ほど行程をちょっと見させて頂いたんですが、あれって、最初から最後までどのくらい時間が掛かるんですか?

た:1回のロットで1時間ぐらいです。

か:あ、1時間位なんですか。

た:はい。まぁ100人前、100玉ぐらいですね。

か:あぁ、そうなんですか。で、それっていうのは、足りなくなったらまた作ると・・

た:1日の目安として、大体これぐらいの食数でるでだろうという予測の元作っています。大体、2日位で無くしたい、次の日ぐらいには無くしたいと。その辺がちょっと拘っているところでして、熟成をさせない麺を出すっていうのが、まぁラーメン屋さんで言うと逆なんでしょうけど、自分の中では粉の風味を楽しんで頂きたいので、なるべく打ち立ての麺を楽しんで頂きたいので、そうしています。

か:そうですよね、麺作りって2通りの考え方があるような感じで、まぁ寝かした方が美味しいという場合もありますし、打って直ぐの方が美味しいって言う場合もありますし・・・

た:そうですね、ラーメンはスープも麺も全てお客さんが美味しいを決めることなんですが、私の中では先ほど話したように、うどんが凄く好きなので、そのうどんから、どうしても粉の味を美味しいうどん屋さんは粉を感じるので、それをどうしてもラーメンに活かしたいというのがあるものですから、当然打ち立ての麺というのに拘っています。

か:じゃあ、一日のスケジュールというとそんな感じであると。で、自家製麺についてちょっとお聞きしたいのですが、まず、お店から見た自家製麺のメリット・良さ・利点みたいなものがあれば、お聞かせ願いたいんですが、話はちょっとさっきと被ってしまいますが、自家製麺を選んだ理由というか・・・

た:はい、これは先ほど言ったとおり、粉の美味しさを伝えたい、というのがまず1つと。うちのスープ、自分のスープとの相性ですね。どうしても麺屋さんにこういう形で伝えても、その通りに100%できるというのがまず無いので、やはり納得したものを出すには、自分の手作りでないとスープとのバランスが取れない、という事で。自分でやった方がメリットが、より美味しいもの、納得したものをお客様に提供できる、というところだと思います。


・麺が主役のラーメン

か:ちょっと余談になってしまいますが、ラーメンを作るというその最初の発端になったときに、どちらから考えたんでしょうか。麺を作るところから考えたのでしょうか、それともスープから考えたのでしょうか。ちょっとイメージ的な部分もあるかと思いますが・・・


【すまラー】麺処 田ぶし インタビュー その1
た:麺ですね。やっぱりうどんの麺が好きで、あの香りが忘れられなくて。ああいう麺をどうにかラーメンで、というところからなんですが。で、うちのスープの特徴も鰹の風味がかなり効いていると思うんですが、それもうどんのつけダレからちょっとヒントを得ながら作ったものですから、それとどうしてもバランスが取れる麺をということで、自分の中でいろいろ試行錯誤しながら、作った麺なもんですから、どうしても、外に頼むとああいう麺が出来てこない。それでやっぱり自分の納得したものを作るのが自家製麺というところに至ったんです。

か:じゃ、スープとかっていうのも、麺に合わせて後から作っていったという感じなんですかね。

た:そうですね、若干の修正もありますけど、まぁラーメンって、こんなこと言っちゃいけないんですけど、出来て旨かった時が完成。ていうイメージで僕はいるので、こうして・・こうして・・こうしたら美味しいものが出来るという食べ物ではないと思って作っているんですけど、色々遊び心入れながら作ってそれが完成に至ったときに美味しければ、それは成功と。

か:まぁよく言われることですけど、試行錯誤を重ねてくと。

た:そうですね。まぁできあがったスープと、求めた麺が丁度あったところが完成だと、いう形なんですが。


・静岡東部進出にあたって

か:最初に出来たのが、「本家 田ぶし らーめん」ですか?

た:そうですね。高円寺だと1種類でしかやってなかったので・・・

か:そうでしたよね、で、まぁ私の記憶だと、こっちに来たときに、味噌とか、増えてるなーと。

た:そうなんです。

か:じゃ、こっちを立ち上げる時にはもう、そういう別の味を入れていこうというのが、あらかじめ考えられていたと。

た:そうですね、どうしても東京と、地方の温度差は必ずあるであろうと言うことで。やはりロードサイドですから、家族連れであるとか、年齢層の幅が広いというのが予測できたので、やはり無難な醤油・味噌というのが、やはり、日本人は醤油・味噌というのが欠かせないので、やっぱりそこを押さえておかないと。やっぱりあの当時、三島が出来た当時ですと、東京でも新しめの味だったものですから、地方に持ってくると、なにこれ?という恐れがありましたので、少し押さえで一応作っては来たんですけどね。

か:今でこそ東部でもインパクトのあるラーメンって出てきましたけど、当時はああいった味ってあまりなかったですよね。

た:そうですね、それもあったんですけど、まぁ、季節限定で東京の方でも色々味噌もやってたり、醤油もやってたりしていたもんですから、それをベースに持ってきてたので。新たに開発と言うことではなかったんですけどね。


・生き物のような「麺」の正体

か:へぇそうだったんですか。ちょっとまた麺の話に戻りますけど、自家製麺、各店でなさってるじゃないですか。その中で大変な面、苦労的な面、注意しているところとか、まぁ汗流しているような部分があったらちょっとお聞かせ願えればと。

た:これはですね。加水、よく言う自家製麺ですと加水の問題が凄く比重を占めるんですけど、季節によって加水が変わってくるのと、季節だけじゃなくその製麺室によって、各店製麺室の湿度が違うと加水を変えないといけないというところが、難しいところですかね。

か:僕も初めて三島店でああいう風に見せる形で製麺されているというお店は無かったですし、なおかつ、よく見ると製麺室の中にエアコン置いてあって、やっぱ湿度を気にしているのかな、というのが見ていて思ったんですよね。やっぱそういう加水率が気になって・・

た:大きく左右してきます、味にはですね。特にうちのは若干加水を落としているんですね、わざと。ていうのは、スープを染みこませたい、スープを引っ張りたいので、加水をちょっと落として、こう引っ張って食べて欲しいというのがありまして。その微妙なラインを超えてしまうと引っ張ってこないんですよね。で、自分の計算の中では引っ張ってきて最高の味になる、という計算なので、どうしてもそこ、加水がちょっとずれるとちょっと変わってくるんですね。

か:そういうのって、やっぱり日によって、天気によって違うんですよね。

た:極端に言うと、天気でもだいぶ左右されますけど、大きく言うとやっぱ四半期には(季節ごとに)だいぶ変わりますね。


【すまラー】麺処 田ぶし インタビュー その2に続く・・・


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